タグ別アーカイブ: アイスピック

夏のオトシゴ

アイスピックの『夏のオトシゴ』は絵柄も綺麗でストーリーもよくまとまっている漫画です。
事細かに語られるタイプではなく、かなりの部分を読み手の想像力に任せる描き方なので、裏事情などを想像しながら読める珍しいタイプだと思います。
特に、物語のラストの部分は、夏のオトシゴというタイトルにふさわしい終わり方であり、この後に起こるであろう事態をいろいろ連想させるかたちになっており、秀逸です。

主人公である一ノ瀬香奈はごくごく普通の女子校生。
特に目立ったところもなく、クラスでも注目されたりすることはないけど友達ともそこそこうまくやっている子です。
こんな子が『夏のオトシゴ』というタイトルだけでもいや~な感じの事件に巻き込まれてしまうなんて想像もつきませんね。

ところが、この事件に巻き込む遠因となった人物もまた意外でした。
この人物は一ノ瀬のクラスメイトで、一ノ瀬より更に目立たない男子生徒です。
クラスメイトも、まあ名前くらいは知っているという程度の存在感の薄い人なのですが、この人が一ノ瀬に告白をしてくるのです。

普通の漫画なら、実はこの男子生徒がゲスで、一ノ瀬を狙っていたといきそうなところですが、『夏のオトシゴ』この男子生徒は見た目同様人畜無害です。
この時点では、この男子生徒と付き合い始めたことが、どうオトシゴに結びつくのか、全く分かりません。
それどころか、ごくごく普通に交際して時間はかかってしまいますが、しっかりと結ばれるのです。
一ノ瀬もこの男子生徒と話しているときは本当に楽しそうで、初めてエッチする時も恥ずかしがりはしても嫌がったりはしていないのです。

タイトルとは全く逆方向に進んでいく一ノ瀬と男子生徒の交際ですが、実はここに落とし穴がありました。
一ノ瀬も年ごろの女の子なので、好きな人のとなりにいるときは少しでもおしゃれしたいと思います。
ごくごく普通の発想なのですが、実は一ノ瀬は今まで地味だっただけで、素はかなりの美人なのです。
かくして、クラスにしっかりおしゃれした美人が急に現れることになります。

悪いことに、一ノ瀬と男子生徒は付き合っていることをクラスメイトに知られないようにするために学校ではそのことを隠していました。
つまり、周囲は一ノ瀬はフリーだと思っていたので、あちこちからちょっかいを受け始めます。

このちょっかいを出してきた男の一人が、夏のオトシゴの犯人でした。
半ば強引なやり方で一ノ瀬と男子生徒の間に割り込んできたこの男。
一ノ瀬の気持ちなんて全く考えもせず、自分の欲望のためだけに動きます。
当然、男の目的は一ノ瀬を寝取る事。
こうして『夏のオトシゴ』の役者がそろい、悲惨な現実が幕開けとなるのです。

ちなみに、アイスピックの『夏のオトシゴ』では、後日談は語られていません。
読者の想像に任せてある部分なのですが、できれば続編として『夏のオトシゴ2』を出してほしいですね!!